オーブが、どんな場合に物体を迂回し、どんな場合に突き抜けるのかは、僕にもよくわかりません。
でも僕は、元々はっきりした理由などないのではないかと思います。なぜなら物体を通過して移動することが可能なのに、わざわざ迂回する理由がどうしても見当たらないからです。ましてや霊たちが階段やエレベーターを使って移動しなければならない理由があるとはとても思えない。しかし、彼らは実際にそうします。しかも希にそうするのではなく、どちらかといえば面倒な経路を迂回するほうが断然多い。僕は、このオーブの行動が非常に重要なことを示していると思うのです。僕は、彼らが人間だったときの記憶、つまり生前の行動のしかたの記憶に従っているのではないかと思います。
霊になって、物を突き抜けられるようになり、移動の制約がなくなっているにもかかわらず。人であった時の習慣のほうが勝って、それに従っている。実は、そのような例は他にもあります。例えば、先に、オーブが空中に静止する場合の説明の中で、床からの高さが生前の身長の高さを基準にするというお話をしましたが、これもおそらく同じ理由だと思います。自由に移動できるのに、「その高さ」である必要も必然もどこにもない。でも多くのオーブはそうします。
これは霊達の行動のしかたを考える上でとても重要な手掛かりだと思います。